画像収差・仰角
up Date 29 / Oct / 2024
単眼 と 複眼
このホームページを立ち上げたときから、このテーマは取り上げたいと思っていた。
見え方の違いはどのように影響されるか?
構想はあっても 上手く表現する術が見つからなかった。
事の全ては この画像一枚から始まる。
と ある旅館の客室で見つけた 指物
建物からして40年位経過しているか?
当時はNC加工機など無かったので、おそらく ルーターかトリーマー等、手彫りに近い加工
昔は洒落の効いた加工をする大工さんが多く居たが今は皆無。。 。
枕はこのくらいにして・・・
この指物を 両目 で見たならば、孔に対して 素通し で見えるはず
人間の目は右と左・互いの視野を重ね合わすことで立体感と遠近感を脳内で合成
その結果が、素通しとして見えているわけ。。。
それがカメラを通すと、中心部から離れるに従い側壁が現れる。
一眼レフの所以たる現象。
実際、片目で見るとこんな感じで見える。
また、対象物から距離を置くことにより側壁は消え、素通しの様に見えてくる。
これが 距離感
レンズの焦点距離が短い(広角)と現れ、長くなる(望遠)になる程に消えていく 遠近感。
そこで、テーマとして掲げるのが デジタイズに於ける 仰角問題 になる。
フラットペットスキャナー ≒ コピー機 と仮定した時
原版に対して密着系・等倍のスキャニングからの・拡大・縮小に対して
デジタイズの場合は原版から一定の距離を置き、レンズを介して、カメラのフォーマット・撮像子サイズでの撮影・拡大
コピー機の 拡大・縮小 とは像の扱い方に違いがある。
また、使用するマクロレンズの焦点距離が長い程 仰角問題 は抑えられる反面
フイルムサイズが大きくなる程、撮影距離は離れ
離れた分だけの撮影環境の均一化(暗室化)が求められる。
空間のチリやホコリも目立つかもしれない。
また、被写体から離れる程にマクロレンズが得意とする撮影域を外すかもしれない。
フイルムベースの厚みは0.2ミリ前後
乳剤の厚みはたかがしれている が、乳剤全面にあるフイルムベースに仰角の影響は
あるか?ないか?
ちょっとだけ歴史
昔、ポジフイルムは現像すると一コマずつペーパーマウントされて戻ってきた。
ポジフイルムの主目的はスライド投影。
スライドプロジェクターなる投映機を用いて 解説付き・動かない映画 を学校の視聴覚室で見ていたりした時代。
後にポジフイルムからプリントする ダイレクトプリント の普及( 1982年位から? )により、見たままの色がプリントできるようになった。
プリント代は高かったけど、ネガフイルムよりも発色がよく色転びも無かった。
左側がフイルム光沢面 右側が乳剤面
マウントされたフイルムの開口孔は約 34.0 x 22.8 mm
厚み 1.1mm その真ん中にフイルムが挟まっている。
このコマに関してはフイルム表枠・裏枠、開口孔に若干のずれがある
マウント あるある 事例で、さほど気にしていなかった。
画面 青枠の囲みは フイルム・乳剤面の開口孔
赤枠の囲みは フイルム・光沢面の開口孔
孔のズレ巾は約 0.5mmくらい。
個人レベルでの問題は無し
OM SYSTEM ( OLYMPUS ) 30mm Macro ( 60mm / FX ) と 60mm Macro ( 120mm / FX )
EPSON GTX-970 フラットペットスキャナーを使っての比較実験
囲み画像上、赤枠部分の影は紙マウントの影。
前マウント と 後マウント の大きさが微妙に違う(後マウントの方が微妙に小さい)ために映り込む影
この影巾が レンズの焦点鏡に於ける仰角問題。
レンズの焦点距離を伸ばした分だけ影巾は狭まっている。
まぁ~ マウントのケラレしろ と、言えばそうなのだけど
レンズを長くするとお手製デジタイズ装置全体が大きくなり場所確保・組立・解体がメンドウ。。。
また、現在使用しているデジタイズ装置は、レンズ前・フィルターネジからの装着品
レンズヘリコイドに相応の負担を強いているはずなので、あまり長くしたくないし、重たい装置も付けたくない。
だからといって RICOH PRNTAX の DupliCator はレンズ前フィルタータイプよりもセッティングが大変。敬遠したい・・・
出来るだけコンパクトに作業したいのが本音。
一方、フラットペットスキャナーの画像は、フイルム面に対して全画面垂直に拾っているので
紙マウントの切り口がそのまま 影落ち する事無く取り込まれている。
画像取り込みに時間は掛かるけど、電源入れて付属のキャリアーにセット・終わったあとの片付けを考えると利便性は高い。
そして・・・
フラットペットスキャナーの光源は 両面照射
デジタイズの光源は 裏面照射
プリント( 紙焼き )の光源は 表面照射
一通りのことを踏まえて検分してみた結果 使用上の問題 となる致命的問題・事例は見つからなかった。
併せて、一番気になっていた 画像変異 の問題
見た目では判らなかった。
原版を知る人しか判らない あるある な話
大切なのは 画像取り込みの手軽さ RAWからの後処理(現像・レタッチ)のしやすさ など
デジタルカメラの延長線上で 後処理が出来ること に、新鮮みを感じる。
何せ、今まで業者任せだった部分が、自分自身で意のままに編集出来るのだから、こんなに楽しいことはない。
実際の話 デジタイズした画像を40インチのでレビで見たりグループ展でA1サイズで展示したりと
135 サイズサイズでは限界と言われていた 全紙 以上のサイズで楽しんでいる。
デジタイズ vs.スキャナー
画像変異は感じられない。と 書いてはみたものの
どの程度の物か?? 調べたくなった。
原版とは違うセンサーサイズに対して、実際の変異は?
レンズによる違いはあるのか?
画像変位はほぼ無し 正確にトレース
OM SYSTEM ( OLYMPUS ) 30mm Macro ( 60mm / FX ) と
EPSON GTX-970 フラットペットスキャナーを使っての比較実験
デジカメの記録サイズに、なるべく合わせる様調整して、フラットペットスキャナーでも取り込む
取り込んだ画像を、フイルム開口孔( 34.0mm )に落とし込んだときの画像変異を算出
マウント開口孔 34.0 x 22.80 mm
30mm MACRO 34.0 x 22.81 mm
GTX-970 34.0 x 23.03 mm+ 1.01 %
共に四角四面・正確にトレース
ただ、GTX - 970 のトレースに関しては、H 方向に 約 1 % の間延びがあった。
使い始めて 15 年の機材故、やむを得るとしてもまぁ~許容の範囲。
収差は発生する
レンズに画像収差はつきもの
昨今は、カメラ側・現像ソフト側 にと収差補正の技術が進みレンズ周縁部の歪みも補正されていると聞くが
その実力たるもの、致細に確認したことはなかった。
また、画像合成精度を高める為
スキャナー画像 GTX-970 の+1.01%を矯正して 30mm マクロ画像と合成。
画面中心部に近い対象物 EF8181 機関車ナンバープレートの部分に画像を重ね合わせてみた。。
予想通りにズレた。
フラットペットスキャナーの画像は、フイルム面に対して全画面垂直に拾うの対して
デジタイズ画像は、画面中央部 と 画面周辺部 との撮影距離が違う。ピントは合う それがレンズの特性。
レンズを通すことによって 角度・仰角 が発生、中心部から離れる程ズレ幅は大きくなる。
ズレ巾は、原版サイズで 最大約 1 mm 程度
この歪みを 許容出来るか否か? は各の判断。
また、ここで使用しているカメラのセンサーサイズは マイクロフォーサーズ
センサーサイズが違えば、得られる結果も違うと思う。
あくまで 一例 として・・・
30mm MACRO vs. 60mm MACRO
OM SYSTEM マクロレンズ 30mm と 60mm 焦点距離による収差の違い
焦点距離が違えば画も動くはず。
ならばその違いを見極めようと、こちらも画面合成。
30mm マクロの画像はフル画面に対して、60mm マクロは画面の両端が切れている。
これは、手持ち・使用したデジタイズ装置の都合によるもの。
再度撮影・完全画像化するには、レンズを借りることになるが実験上の支障が無かったのでそのままの画像を使用。
目の錯覚か?
何度も見直し、画像透過も行ったり来たり・・・
画像の重なり感が高く、画ズレを中々見いだせない。
合成前での確認ではマウントの影が 60mmマクロ の方が短いことくらい。。。
レンズの焦点距離が変われば、仰角も変わり四角四面は変わらなくても画の造りは変わるだろう
と、個人的見解・先入観
実際は、ほぼ同一の画 驚きだった。
どうして同じになるのか?設計思想?たまたま?偶然?・・・
レンズ設計する方に質問したいところだけど、どのように聞けば良いか?
実験して判ったことは
OM SYSTEM ( OLYMPUS ) のマクロレンズを使ってのデジタイズの場合
30mm 60mm どちらのレンズを使っても同じ画を得られる事。
ブローニー ( 120 ) サイズの場合は?
他のセンサーサイズの場合は??
更なる疑問もあるけど・・・
今日のところは お時間となりました。m(_ _)m
つづきは またの機会に。。。